研究紹介
本研究室が目指すもの
本研究室では、脳型知能を実現する学習アルゴリズムの開発と学習理論の研究に取り組んでいます。これらを通して知能の原理を発見することが目標です。
人工知能や知能ロボットを自動車や飛行機に例えるなら、それらを動かす「知能のエンジン」を作ることが本研究室の目標です。たくさんの経験やデータを統合し、普遍的な知識を発見するアルゴリズム開発を通して、「知能ってなんだろう?」という問に答えたいと思っています。 応用面では人工知能やビッグデータ解析などさまざまな分野への利用が考えられます。中でも人間同士のコミュニケーション解析は中心的に取り組んでいきたいテーマです。また科学面では、学習理論の究明を通して、脳・神経科学や認知科学との接点を探っていきます。
本研究室ではニューラルネットおよび統計的機械学習をベースにしつつ,高次の知識獲得を実現する学習アルゴリズムの開発と学習理論の研究を行っています.特に非線形テンソルモデリングやマルチタスク学習、メタ学習などのアルゴリズム開発とその応用を中心的に取り組んでいます.これらの成果を実応用につなげつつ,認知科学や脳科学との橋渡しをめざします.
現在取り組んでいる研究テーマ
1. 学習原理の数理的究明
◆多様体モデリング
データ分布は固有の《かたち》を持っています。
その《かたち》を「多様体」としてモデリングします。
データの《かたち》から、データに潜む《本質》を見つけます。
多様体モデリングはデータから知識を発見する基盤となる学習原理と考えています。
◆マルチ多様体モデリングによるメタ学習
さまざまなデータ集合を同時に学習することで、普遍的なルールを発見し、同時にデータそれぞれの個性も見つけます。
たとえば、さまざまな人の顔画像を多様体モデリングすることで、表情やポーズの普遍的なルールと、ひとりひとりの個性を見つけられます
その基礎は、データとモデルの対話による「隠れた本質」の推定です。
fig:メタ多様体モデリングの数理
◆マルチタスク学習・メタモデリングの数理
複数のデータを同時に学習することで普遍的ルール(メタモデル)を発見する計算原理の研究もしています。
2. 知能の数理モデル研究
知能を実現するための数理モデル研究に取り組んでいます。
◆視点推定の数理モデル
データから観測した人の視点を推定したり,さらに自分の視点を推定する数理モデルの研究もしています。
◆アクティブラーニングの学習原理
データをみずから探しに行く「アクティブラーニング」は,AIにとっての好奇心とも言える学習原理です。
3. 人間の知的活動の数理モデリング
◆チームデータのモデリングとチーム編成支援
メンバー構成とチームのパフォーマンスの関係をモデリングし,チームのデータを解析し,チームの編成支援をします。
バスケットボールチームのデータに応用しました。
メンバーとチームの関係をモデリングしてメンバー編成支援をします。
◆ファッションデータの解析とコーディネート検索・推薦
ファッションも人間の興味深い知的活動のひとつです。
SNSに投稿されたコーディネート写真のデータをモデリングし,コーディネートの検索や推薦をするシステム開発の研究に取り組んでいます。
fig:コーディネートの視覚的探索システム
◆感性を扱うデータ解析
ファッションだけでなく,風景画像を用いて人間の感性データを解析する研究も取り組みました。
ひとりひとり違う感性を解析し,自動車デザインの分析に応用しました。
◆文書データやコミュニケーションデータのモデリングと可視化
たくさんの文書や,ネットワーク上のコミュニケーションデータをモデリングし,どんなトピックがどんな人間関係の中でやり取りされているかをモデリングしたり,可視化したりします。
fig:単語・文書の同時解析
文書のトピックを可視化します。
fig:電子メール解析による役割の発見
ネットワーク上の人間関係解析,幼児の行動モデリングにも取り組んでいます。